VNA2機種使い比べ

(2015年3月8日、全面書き換え)

ミニvnaプロ vnwa
miniVNA PRO VNWA2(下はもちろんFT-817です。Hi)

2011年初にVNWAを購入して使ってきました。また、別のVNAであるmini VNA PROも入手しました。 両方持っている日本人はおそらく私ぐらいかと思いますが、VNAを使ったことのあるアマチュアは まだまだ少数だと思いますので、これから購入を検討される方のために2機種の比較です。

アマチュア用ネットワークアナライザ、SWRアナライザ概観

いきなり、他の引用ですが、リグエキスパートのウェブサイトで、自社製品だけでなく、 なぜか競合も含めたネットワークアナライザ、SWRアナライザについて書かれたページがあります(英文)。

こちら


miniVNAとVNWA

精度

測定器として最も重要なものが、測定精度だと思います。私は業務用の高級ネットワークアナライザなぞ使う機会がないので、 自分の意見としては何ともいえないのですが、VNWAについては、いろいろなところで高級機に比べてひけをとらないと言われています。 VNWAとminiVNAで同じ測定対象を測定することがありますが、両機種でグラフの形が大きく違うというようなことはありません。 両機種ともアマチュア用としては十分な精度だと思います。

機能

両機種共通

  • 2ポートのベクトルネットワークアナライザ。アンテナ、高周波回路、デバイスの測定ができる。
  • PCと接続して使用する(単体では動作しない)。
  • Sパラメーター(測定結果データ)のエクスポート、インポート機能がある。
    以前、VNWAとminiVNAの間でsパラメーターファイルによるデータ交換を検証したことがあります。下記、ご参照。
  • 定期的に校正(キャリブレーション)が必要。

miniVNAの特徴

  • ユーザインタフェースがわかりやすい。特にアンテナ調整関連。
  • Android端末用アプリ(blueVNA)がある。スマホが使えるため、移動運用の際には便利。
  • 2信号発生器の機能がある。
  • (僭越ですが、)日本語マニュアルがある。

VNWAの特徴

  • TDR(Time Domain Response)測定ができる。
  • LCRメーターの機能がある。

結論としては、この記事を最初に書いた時(2012年秋)から変わっていません。シャック内において、あくまで高周波分野の測定器 として使うなら、VNWA。アンテナ製作・調整(なかんずくHF/50M帯あたり)に重きをおくならminiVNA PROです。VNWAはアルミ製ケースに収められています。miniVNA PROはプラスチックケースです。高周波シールドという観点からはどちらがいいかは明らかですが、屋外での持ち運びという観点からは、ケースに保護用のゴムが貼られ、カーブを描いているminiVNA PROに軍配が上がります。

両機種ともSパラメーターのインポート、エクスポート機能があり、測定結果を相互に利用可能です。AC6LAが開発したSパラメーターをExcel上で分析できるZPlotsもサポートしています。ローカル局と相談の上、購入機種を分散し、必要な際には相互に貸し合うというのも手だと思います。

2019年5月追記
miniVNAに関しては、2014年に3GHzまで測定可能なminiVNA Tinyが発売されました。下記にあるように当局が日本での販売権を有していますが、2.4G帯のWiFi帯をカバーするため、アマチュア無線家より、むしろ大学・企業からの注文が多く来ています。


VNAとSWRアナライザとの棲み分け

MFJ社のSWRアナライザMFJ-259も持っていますが、機能・精度では、上述のVNAには太刀打ちできません。 だからと言ってSWRアナライザが不要かというとそうも思えなくなっています。移動運用でアンテナを組み上げた際にきちんと動作しているかどうかを確認する場合、SWRアナライザだとざっと調べることができます。 それに比べればVNAは面倒です。

ただ、そのためには最初にアンテナをきちんと設計・製作していることが重要で、そのためにはSWRアナライザでは不十分です。「SWRが下がったからいいや」的発想では、何かあった際にはお手上げです。今にして思うと、以前、SWRアナライザだけでアンテナを作っていたのは、我ながら「よくそんなことやっていたな」という感です。 製作時にアンテナの特性(ケーブルを含めた全体でなく、アンテナ単体で)をきちんと測定・把握して、ベストな状態にまで追い込んでおくのは重要だと思います。


miniVNA - VNWA間のデータ交換について

2014年末、表記について検証実験を行いました。基本的には双方向で可能です。詳細についてはブログをご覧ください。

「VNAを使う(14) SパラメーターファイルによるminiVNA – VNWA間のデータ交換(1)」(2014/12/24)
「VNAを使う(15) SパラメーターファイルによるminiVNA – VNWA間のデータ交換(2)」(2014/12/01)
「VNAを使う(16) SパラメーターファイルによるminiVNA – VNWA間のデータ交換(3)」(2014/12/07)
「VNAを使う(17) SパラメーターファイルによるminiVNA – VNWA間のデータ交換(4)」(2014/12/12)


バナースペース