自作マグネットアースシート

MAT-50とOutbackerでのお手軽移動運用

移動運用を手軽にできるよう第一電波のMAT-50を購入したのがきっかけです。以前から所有していたオーストラリア製のOutbacker Perthと組み合わせて、お手軽移動運用をおこなうと、結構、DXとQSOできます。ならば、車体との接触面積が広い方がより接地効率を上げられるだろうと思い、自作を始めました。


初代

自作したマグネットアースシート(初代)

作り方は下記、2代目の項を参照してください。

MAT-50と併用することを考え、MAT-50がルーフなら、こちらはボンネットということで、長いケーブルとしました。しかし、これが裏目に出て、共振周波数がおかしくなってしまいます。MAT-50でも、「50M帯で使用する場合はケーブルを短くして使用」と書かれているので、やはり、シートとアンテナ基台取り付け部との間のケーブルが影響するようです。でも、共振周波数がズレるということは、影響を与えているということであり、すなわち、アースシートとして機能していると考え、本格的なものの自作に至りました。


2代目

マグネットアースシートの自作のための材料

初代の経験を活かし製作。

材料

①マグネットシート
DIY店やホームセンターで入手可。
このときのものはA4サイズぐらい
②銅テープ
③ケーブル(ACコードを割いたものを撚り合わせた)
④アルミホイル
⑤ワニ口クリップ
⑥ゴムシート

作り方

(1)マグネットシートの一辺程度の長さの銅テープ2本を用意。この一端に、アンテナ給電部に接続するためのケーブルをハンダ付け。ケーブルは取り回しを考えて割いたACコードを2本撚ったものを使用。MAT-50との併用を考え、ケーブル長はMAT-50のものと同程度とした。
(2)銅テープをマグネットシートのマグネット面に貼り付ける。2本をV字形に貼った。
(3)ケーブルの反対側にワニ口クリップをハンダ付け(ここはアンテナ給電部のアース側の形態に合わせて使う部品を適宜変える。)
(4)車に貼った際に車体を傷めないよう、マグネットシートからケーブルを引き出す部分の周辺に切り込みを入れて自在に動くようにするとともに、ハンダ付けした部分にゴムシートを当てて保護する。
(5)アルミホイルを数枚折り重ねて、マグネットシートと同じ大きさにしたものを用意。
(6)マグネットシートのマグネット面にアルミホイルを重ね合わせて、これをマグネットシートの商品袋あるいは同サイズのビニール袋に入れる。
(7)マグネットシートを鉄板などに貼り付けた状態にして、アルミホイルとケーブルの間に導通があることを確認(高周波アースだから、あまり関係ないと思うが、念のため)。

この当時多用していた、自作の10M/14M用デュアルバンドワイヤバーチカルと組み合わせて使用しましたが、MAT-50を使う場合に比べて両バンド共、共振周波数が低い方にズレたものの、SWRの下がり方が多少よくなりました。受信ではノイズが低くなっている印象を受けました。CW送信でもリグや、そのSWR指示に異常はなし。14MのCWでDLやLXと交信でき、十分実用になると感じました。

他に7/10M帯用の自作バーチカルとの組み合わせでも運用しましたが、同じように、アンテナの共振周波数は両バンドとも低い方へズレました。結果、すべての組み合わせでアンテナの共振周波数が低い方にズレたことになりました。これは、アースシートと車体との間のキャパシタンスが増えたため、アンテナに直列に入っていることになる容量性リアクタンスが減った。このため、それを打ち消すための誘導性リアクタンスも少なくて済み、エレメント長が短くて済むようになったのではと思っています。(→同じ長さであれば、共振周波数は低くなる)。であれば、このアースシートは成功。 初代と併用してみたところ、共振周波数はほとんど変わりませんでした。初代とMAT-50との組み合わせの際には大幅に変わったので、2代目のアースシートがMAT-50より大きなアース効果が得られていると思っています。

車のルーフに貼った自作マグネットアースシート(2代目)

このマグネットシートと、上述の10M/14M帯用デュアルバンドワイヤバーチカルで結構DXを稼げました。西アフリカやカリブもOK(このバーチカルアンテナ、ジャンクを集めて作った長さ6m程度のもの。Zone2もこれでゲット)。今にして思えば、凄いコストパフォーマンスでした。3.5M帯でも動作してくれました。


3代目

マグネットアースシート(2代目と3代目)

ローバンドでの性能向上を目指し、さらなる大面積を目指したのが3代目です。作り方は変わらず。面積は2代目の3倍くらい、都合、MAT-50の10倍以上の面積を有します。ただ、大きくなりすぎて取り回しに不便なところもあります。

2代目とMAT-50を併用するとアースシートの貼る位置でSWRが変わることがありましたが、2代目と3代目の併用では、そのようなことはありません。もう十分なのかもしれません。14M帯の静かさが印象的でした。5月のWPX CWコンテストで、3.5M帯で南米(PY)と交信の実績があります。

写真左が2台目、右が3代目。現在は基本的に3代目を使用し、ローバンドで少しでもアース効果を高めたい場合に、2代目を併用。


アーシング

アースシートの大面積化と相まって、ボンネットのアーシングも行いました。アーシングというのは、車体の各部を太い導体で確実に導通させることです。

ボンネットアーシング部の写真

車の各鋼板は必ずしも電気的に接続されていないらしいです。自分の車のボンネットステーの取付部のボルトを外し、塗装のない部分とエンジンルームとの間の導通の有無をテスタで測定すると、ちゃんとあります。しかし、ヒンジという可動部分が間にあるので高周波的にはどうなっているかわかりません。ボンネットだけでなく、ドアなども接続すれば良いらしいのですが、まずはルーフの次に面積の大きいボンネット。ボンネットと車中央のボックス(ルーフ)を平編線で接続しました。

措置後、無線をやる前に気づいたことが、FMラジオの入感がいいことです。それまで自宅周辺の生活圏ではFM横浜はノイズまじりに聞こえる程度だったのですが、良好に受信できます。FM FUJI、Bay FMなど東京以外のFM局も良好。車関係のWebを見るに、ボンネットアースにより車の最大のノイズ源であるエンジンのシールドが良くなり、S/Nが向上するらしいです。無線の方ですが、それまでより、弱い信号が浮き上がってきて多く聞こえる感じで、確かに効果がありそうです。

P.S.
アーシングケーブルですが、抵抗低減のために端子はハンダ付けしない方がよいとの見解がネット上で見られますが、私はハンダ付けしました。万一、平編線が外れてエンジンの回転部分に巻き込まれでもしたら大変なことになると思ったからです。また、エンジンルームは高温になるので、出所不明の被覆線などは使わない方がよいと思います。いずれにせよ、マネされる場合は自己責任でお願いします。



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